不景気で懐事情が厳しいなか、少しでも安くて良い部屋に住みたいとは誰しも思うところ。
実は、ちょっとした工夫で条件をあまり変えずに家賃の低い部屋を見つけることができるのだ。
左のデータでも分かる通り、最寄駅からの距離は徒歩11分以上になると安くなり始める傾向があるようだ。物件と徒歩15分超の物件とでは、「5分以下」と「16~20分」では約1.7万円もの開きがある。築年数や設備など、部屋のレベルを下げることなく家賃を安くするにはいい手かも。
最寄駅から15分程度なら毎日通勤・通学する人でも歩ける距離ではある。一般的に「徒歩○○分」は、単純な道路距離にかかる時間を80m=1分で換算したものだ。坂道や信号の数などで変わるものなので、気になる物件があれば自ら歩いて実測すべし。
女性ならできれば夜道も確認しておこう。ちなみに、自転車を使う場合は、近くに駐輪場がない駅もあるのでそこはチェックをぬかりなく。
※東京都世田谷区のSUUMO掲載物件データ/2011年3月(ワンルーム、1K、1DKのみ)
「駅から20分」と聞くと「徒歩20分」を連想しがちだが、「バスも使って20分」というケースもある。当然、後者のほうが距離的には遠いわけだが、かかる時間は同じだ。
しかし、見ての通り家賃には格段の差が表れる。バスの通勤定期が1カ月あたり8000円程度かかるとしてもなお安い。それすら節約して自転車を使っても、ほどよく運動不足が解消されるぐらいのちょうどいい距離感が「徒歩+バス20分」なのだ。
落とし穴としては、バスの運行本数が極端に少ない場合があること。予定していたバスを逃すと次は30分後で、即座に遅刻決定。なんてことになるとサラリーマンの死活問題。また、終電ならぬ終バスの時間も忘れずチェックしておきたい。終バス時刻があまりに早いと、残業終わりの夜道を毎日トボトボ歩くハメになるぞ。
※SUUMO掲載物件データ/2011年3月(ワンルーム、1K、1DKのみ)
快速や急行電車が使えればそれだけターミナル駅にも早く着いて快適。・・・と、思いきや、駅によってはたかが数分しか変わらないこともある。
左図では東急田園都市線の急行が「停車する」三軒茶屋と、「停車しない」駒沢大学を比べている。両者は隣り駅で、2分で行き来できる距離であるにもかかわらず、家賃相場は1万円近く異なる。急行が止まるかどうかで隣り合う駅の家賃相場がこれだけ変わってくるのだ。
また、「始発電車」のある、なしでも同様の傾向が。東急東横線の「始発電車がある」菊名は7万円。対して「始発電車がない」お隣の大倉山は6万4000円と、高確率で座れる「始発電車」が発着する駅のほうが家賃は高い。すし詰め状態にさらされるラッシュ地獄を回避する「座り通勤」はたしかに魅力的。しかし、それは月6000円のシート・・・。となると考えものか?
※SUUMO掲載物件データ/2011年3月(ワンルーム、1K、1DKのみ)
同じエリア内でも、築11年を超えたあたりから家賃はグッと安くなる。築年数が古い物件を敬遠する人もいるが、最近はリフォームやリノベーションが施された物件も多く「築年数が古い=ボロい」とは限らない。
そこそこキレイで間取りや広さに恵まれた物件を、リーズナブルな家賃で借りられることもある。「築年数が古ければ家賃が下がる」というのは誰でも想像がつきそうだが、敷金や礼金などの初期費用も抑えることはできることは意外に知らない人も多いのでは。
下のデータを見ると、新築で敷金や礼金がゼロの物件はほとんどないが、中古なら敷金ゼロが9.4%、礼金ゼロは24.1%もある。逆に2カ月分が必要な物件の割合は敷金・礼金ともに大幅に減っており、借りる側としてはうれしい情報といえるだろう。
ちょっと古めの物件はいわゆる「掘り出し物」に出会える可能性の高い金脈。ここを掘らない手はないぞ!
※東京都世田谷区のSUUMO掲載物件データ/2011年3年(ワンルーム、1K、1DKのみ)
部屋探しでは間取りばかり気にしがちだが、同じくらい気を配りたいのが平米数(m2)、つまり「広さ」だ。
シングル向けのワンルームは20m2前後の物件が多いが、これはベッド、テーブル、テレビ、本棚を置き、なお大の字で寝そべることができるくらいの広さだ。さらにふたり掛けのソファを置きたいなら25m2はほしいところ。
「家具を入れてみたら意外と無駄にスペースが余った」なんてのは、そのスペース分の家賃を考えるともったいなさすぎるミス。
また、その無駄に広いスペースが、一人暮らしの身にはかえって虚無感をつのらせることも。居室スペースは狭いが、ロフトが付いていて有効スペースは広い物件などもあるので、自分にとって必要な広さがどのくらいかをイメージして選んでいこう。
※東京都世田谷区のSUUMO掲載物件データ/2011年3月
一人暮らしだとワンルームや1Kなどに住む人が多いが、二人以上で住むなら部屋数が多い間取りに人気が集まる。特にカップルに人気なのが1LDKと2DKの物件だが、比べてみると、広さが同じでも2DKのほうがずっと安いことがわかる。
賃料が安い以外にも、二人暮らしであれば個別の部屋を確保できるので生活時間が違っていてもストレスフリーに暮らせるメリットもある。また、一般的に1LDKより2DKの物件の方が多く出まわっており、1LDKにこだわりすぎるといつまでも部屋が見つからないということにもなりかねないので注意しよう。
※東京都世田谷区のSUUMO掲載物件データ/2011年3月(40m2以下の物件のみ)
バス・トイレが一緒の物件を選ぶと、セパレートタイプの物件より家賃が2万円以上安くなる。入浴時間を重要視する人にはバス・トイレ一緒の物件は敬遠されるかもしれないが、普段から湯船には浸からずシャワーをメインに使うことが多い人なら、一体タイプでもそれほど気にならないのでは?
また、最近では、シャワー派の人向けに、風呂桶を設置せずにシャワーブースのみ設け、その分家賃を低めにしている部屋もある。普段はシャワーで過ごし、湯に浸かりたくなったら近所の銭湯で広い湯船に浸かる…という暮らし方もできるし、この家賃差は大きいぞ!
※東京都世田谷区のSUUMO掲載物件データ/2011年3月(ワンルーム、1K、1DKのみ)
1階の部屋は防犯上の理由から女性に敬遠される。よって、家賃は安く設定されるのが一般的。超高層マンションになると1階と最上階では数万円単位で家賃に差が出るなんて場合もある。
男なら部屋をのぞかれたり下着を盗まれたりするリスクは少ないし、「万が一盗まれても別にへっちゃら」という人は、ぜひ1階に住んでもらいたい。家賃面での恩恵だけでなく、低層階ならではのメリットも少なくないのだ。
まず、買い物帰りに重い荷物を抱えて階段を上り下りしなくて済む、ゴミ出しがラク、など動線面での利がある。また、万が一の地震や火災など、災害時にはすぐ逃げられる。
さらに、下に住人がいないため、足音を気にしなくていい、など。「少なくない」どころか、じつはメリットだらけかも。それでも、どうしても防犯面が気になるなら、低層階で防犯シャッターが付いた物件がオススメだ。
※東京都世田谷区のSUUMO掲載物件データ/2011年3月(ワンルーム、1K、1DKのみ)
一般的には、鉄骨や鉄筋コンクリート、鉄筋鉄骨コンクリートなど「耐火性アリ」の集合住宅がマンション、一方、木造など「非耐火性」の集合住宅がアパートとされる。そして、家賃はアパートのほうが断然安い。右の表では約1.6万円も安くなっている。
アパートは軽い材料を使う分、生活の音が漏れやすいイメージもあるが、最上階や角部屋を選ぶとそのリスクも軽くなる。
それでも「マンション住まい」を選びたいアナタは、最近増えてきているメゾネットタイプのオシャレなアパートを調べてみてほしい。選択肢が広がるかもしれないぞ。
「2階以上」「バス・トイレ別」など、なんとなく聞こえが”良さげ”な条件でも、それが果たして自分の生活に本当に必要なものか、よくよく考えたい。悪く言えば妥協だが、言い換えればこだわり条件の精査。自分の中で条件を仕分けし、徹底的にムダを省きたい。紹介してきたテクニックを複数組み合わせると、より安く、絞り込まれた物件情報が検索できる。そこから、安さと暮らしやすさのバランスがとれた、自分にとって究極的にコストパフォーマンスの高い部屋を見つけるのが鉄則だ。
※東京都世田谷区のSUUMO掲載物件データ/2011年3月(ワンルーム、1K、1DKのみ)